夕闇が迫るなか船を降りると、どんよりとした雨雲の中にそびえる大きな岩がむき出しの山々。
  生暖かい風が頬をなでる。そう、ここは屋久島。
  バス、飛行機、船を乗り継いできた疲れのせいか、遠くへやってきたという感覚が、
  「屋久島フリーキャンプ」への期待を大きくさせていた。
  3月末から4月頭の1週間、徳島県のTOEC(トエック)という親交のある団体主催のキャンプに、
  参加者として行ってきました。
  
  目的は2つ。
  僕の尊敬するトエック代表の伊勢達郎さんが作るキャンプを、体感してみたいということ。
  もう1つは、「主催者」という日常の責任感から解放され、「参加者」として思いっきり遊ぶ!こと(笑)。
  つまり、学びや気づきを求める充電の旅、というところだ。
  
  世界遺産の自然は想像通り素晴らしかった。
  美しい森や雄大な山々、珊瑚礁を泳ぐ大きくてカラフルな魚の群れ。
  想像を越えて感動したのは、釣りをしている時に見たザトウクジラのブリッジング(海面から頭を出してジャンプ)!
  そんな自然も素晴らしかったが、何より良かったのは自由なキャンプに流れるゆったりとした時間だ。
  僕は気の済むまでとことん釣りを楽しんだし、参加していた子どもたちが夢中になっていたのが、塩づくり。
  汲んできた海水を鍋に入れ焚き火にかける。雨の日などは丸一日中、火を焚いて塩づくりをしていた。
  スピードや効率という言葉とは無縁だ。
  
  この「好きなことを時間に縛られず、やりたいだけやれる場」が何より嬉しく、贅沢で、心地よかった1週間だった。
  ガイアのキャンプも同じところを目指している。
  火をおこすための薪集め、カマドを作る石集めから始まるガイアのキャンプは、大変だし不便だ。
  でも楽しい。みんなのために働く喜びもある。
  昔ながらの共同生活の中に当たり前にあった労働。
  現代は効率や便利さを求めすぎて、その労働のプロセスにある喜びや楽しさを感じる機会がほとんどない。
  だからこそスローライフという言葉が生まれたのだろう。
  ならば、ガイア自然学校のキャンプはスローキャンプというところだろうか。
  ゆったりと流れる時間の中で自由にあそべるキャンプは、きっと子ども達の中にも何かを残すだろうと思う。

  
  屋久島の森で見た屋久杉の切株を思い出した。
  その年輪の間隔の狭さに驚いたのだ。聞くと、厳しい環境の中でゆっくりゆっくりと成長しているからで、
  だからこそ芯のある強い木になり、何百年も生き続けているのだという。
  
  ガイアに来る子ども達が持つ力を信じて、その成長をゆっくり見守りたいと思った旅だった。
  フル充電完了!今年度もがんばります!
  夏キャンプ、受付開始しました!