先日のガイアキッズ「地球とあそぶ」で起きたある班の子どもたちの行動や
  Gリーダーの関わりの様子から感じたことと、
  数ヶ月前から構想していた来年度の ガイアキッズ運営についてお知らせしたいと思う。
  
  4年間ガイア自然学校に通っているNちゃん。
  
  とても仲のいい友達Sちゃんがいる。いつもSちゃんと一緒にあそんでいる。
  別の班になった時も班から外れてSちゃんと遊んでいた。
  Sちゃんがお休みでいなかったりすると、班から離れてひとりで部屋の中にいることが多く、
  リーダーが付きそってしばらくすると、外に出てひとり遊びをしているということが多かった。
  
  その日もSちゃんがお休みでいなかった。
  NちゃんはSちゃんがいないことを嘆き、「行かない」と言っていた。
  同じ班の他の子たちは早く先に行きたそうにしながらも、あそびながら待っている。
  Nちゃんは座りこんで、Sちゃんがいないことを嘆く、「おもしろくない」と訴えてくる。
  リーダーは丁寧に気持ちを受けとめたり、時には両脇を抱えて
  引きずるようにして歩かせていた。その間も、リーダーは
  他の子たちに「待っててね〜!」と声をかけている。
  Nちゃんにはもちろんそれが聞こえている。
  
  
  1時間ほどするとNちゃんはすっと立ち上がって歩き出した。
  前をいく男の子二人の会話を聞き、それに対する言葉を最初はリーダーに話し、
  間もなく男の子の会話の中に入っていった。
  その後、班の全員が合流してお弁当を食べる時、班の女の子から
  小さいスヌーピーの入りのふりかけをもらい、「スヌーピー2こももらった〜!」と言って、とても嬉しそうにしていた。
  その日はNちゃんにとって
  新しい自分との出会いの日となっただろうと、嬉しさがこみあげた。
  
  
  では今までとその日は何が違ったのだろうか。
  
  あくまで想像だが、1つにはリーダーが「班のみんなであそびたい」ということに
  こだわって班をわかれさせずにいたことだ。
  いつもなら「じゃあわかれて遊ぼうか」という方向に流すことが多かったし、
  それを誰からも非難されることはなく、子どもたち一人ひとりのやりたいことを
  叶えてあげるために仕方ないと、多くのリーダーが思っていた。
  
  ところがこの日は、班で一緒にあそぶということをあきらめなかった。
  多少強引でおせっかいかもしれないが「Nちゃんが他者とも関係を作っていける成長」
  を信じて行動したことが、いつもと違っていた。
  
  そのことがNちゃんにとって、「私を待ってくれている」「求められている」「認められている」
  というメッセージを強烈に伝えていた
のでは、と思った。
  
  班という枠がNちゃんにとって新しい人間関係を作っていく経験の場となった、と思った。
  
  
  
  別の子の視点からも見てみたいと思う。
  
  班に合流して全員でお弁当を食べた後、リーダーから子どもたちに
  「この後何してあそびたい?」と聞くと、最初に山頂に行きたいと言っていた
  OちゃんとAちゃんは、「もういかなくてもいいよ」と言って、
  リーダーの目の届く範囲の森の中で、
  松ぼっくりや松の葉を使ったクラフトで遊びだし、夢中になっていた。
  
  この様子を見て僕が感じたのは、自由とわがまま好き放題は似て非なり、ということ。
  
  班という枠の中で、一人ひとりの好きなことを
  やらせてあげられなかったという見方もあるが、僕はそう思わなかった。
  他者のことも気にかけながら自分なりに楽しいことを見つけていく力が
  育っているなぁと感じたのだ。
  
  班という枠がOちゃんやAちゃんの協調性を養う場になった、と思った。
  
  
  世の中、全て自由で自分の好き放題にできるわけではない。人は一人では生きていけない。
  いろいろな制限がある中で、いかに他者と協調的に生き、自己実現していくか。
  そんな力をこそ身につけていってほしいと僕は願っているし、
  それは親も一緒ではないだろうか?

  
  
  
  来年度から、ガイアキッズの運営について大きな変革を行いたいと思っている。
  年間参加してくれている子どもたちの班のメンバーを固定し、
  年間を通じて担当するリーダーを1人決めたいと思う。

  1つの班に2人のリーダーがいる場合、もう1人は
  いろいろなリーダーが交代して担当する。
  
  子どもたちにとっては、知らなかった子と関係を作っていく経験になり、
  同じ子やリーダーがいる安心感が生まれ、
  よりのびのびと自分らしくいられる場が生まれてくると思う。
  
  親御さんにとっては、担当リーダーがより深く
  自分の子どものことを理解してくれているという安心感が増し、
  相談ごとや心配ごとなども話していただきやすくなるのではないだろうか。
  
  そして、Gリーダーにとっては今まで以上に責任感を持って活動に参加してもらい、
  子どもたちと丁寧に関わっていくことになる。
  もちろん学業や就活もあるので、その役割を担えるのか不安に思っているリーダーが
  多いのが現状だが、それを乗り越えた時、今までにない達成感や充実感、
  そして彼ら自身の飛躍的な成長をつかみとることを心から期待している。
  
  
  この試みがガイア自然学校のミッション「人づくり」を、より広く深く実現させていくことにつながっていくと信じている。
  
  どうかご理解いただきたい。またご意見、ご批判などあればぜひお聞かせください。
  そして安心してください。子どもたちが変わらず楽しい時間を過ごせるように
  スタッフ一同サポートしていきます。
  
  今年度も、会員の皆様には大変お世話になり、ありがとうございました。
  
  来年度も、ガイア自然学校にお子様をお預けいただき、
  関わり続けていただきますよう、心からお願い申し上げます。