今年の酷暑も峠を越え、朝晩は涼しい風を感じながらキャンプを楽しむ日々が続いている。
  改めて自分はこのガイア自然学校で何のためにキャンプをしているのだろうと考えてみた。
  出てくる答えは、「子どもの成長、Gリーダーやスタッフの成長、そして自分の成長」だった。
  
  団体を立ち上げた頃は、「好きなことを仕事にしたい!」という自分中心の
  動機で始めたが、今なら胸を張って「人の役に立つ仕事をしたい」と言える。
  いつからか、「そもそも仕事とは人を幸せにすることだ」と思うようになった。
  そう思えるようになったのは、多くの子どもたちの成長を目の当たりにし、
  親御さんから感謝の言葉をいただき、たくさんの仲間ができたからだと思う。
  自分も楽しみながら、人の役にたつ実感をダイレクトに得ることのできるこの天職に
  やりがいと幸せを感じる。続けていきたいし、まだまだ追及していきたい。
  
  活動後の報告では伝えきれないほど、子どもたちにとってキャンプは濃密だ。
  教室や家庭を飛び出したアウトドアでのあそびと生活には、
  親が想像する以上に多くの体験がぎゅっと詰まっている。

  
  先日の3泊4日での海ぞくキャンプ。
  
  本部にあるキャンプチェアを見て、
  自分のテント脇に石と流木で自作のイスを作った子がいた。
  
  漂流物の竹竿を拾って針をつけ、岩についた貝をエサに粘り強く釣りをして、
  念願の魚を釣り上げた子がいた。
  
  この子たちに僕は、「今あるもので工夫して何とかやり遂げる力」を見た。
  
  また、夕食後にたくさんの子どもやリーダーを巻き込んで
  おにごっこ大会を実現させた子がいた。
  手あそびを始めて班のメンバーととても仲良くなった子がいた。
  歌を唄ってその空間を楽しい雰囲気に変えた子がいた。
  
  この子たちに僕は、
  「与えられなくとも、何もない中から自ら楽しみを見つける力」を見た。
  
  また、他のキャンパーさんのテント近くで夜中に騒いで怒鳴られる子がいた。
  ちょっかいを出してケンカになった後に、
  その子を気にかけて自然にあそびながら仲直りをした子がいた。
  僕が仮眠しているところにふざけてバケツいっぱいの海水をかけ、
  僕に真剣に怒られて半泣きになった子がいた(笑)。
  
  この子たちに僕は、
  「やってはいけないことと他者への思いやりの気づき」を見た(笑)。
  
  ガイアのキャンプには
  大人が用意する「しなければいけないプログラム」はなく、自由だ。
  
  何もないようで、すべてがある。何気ないところに、無限の成長の可能性がある。
  
  今ここを生きる子どもたちが、将来もそれぞれの人生を主体的に楽しみ、
  命を輝かせて生きることを願っている。
  【文:守屋 謙】