雨の多かった今年の夏もあっという間に去り、秋が深まっていく季節となった。
今年の夏キャンプも大きな事故なく無事に終えることができた。
個人的に嬉しかったのは、いくつかのキャンプでウクレレを弾きながら
童謡やポップスを歌っていた時に、子ども達が集まってきて自然と一緒に歌いだしたり、
即興替え歌で笑ったりしていた時間だ。
数週間後にある子の母親から、
「キャンプから帰ってきてから、その時の歌を聴いたり歌ったりしてますよ。」と
教えてもらってさらに嬉しくなった。
「その歌を聴けばキャンプの思い出がよみがえる」
そんな素敵な機会をもっと作りたいと思って、
来年の夏に向けてお気に入りの曲をノートに書き溜めている今日この頃だ。

コロナ禍での3年目のキャンプだったが、キャンプ中に発熱し陽性となった
リーダーや子どもが出たのは初めてのことだった。
ガイアの事業が自然と人との「触れ合い」であるため、キャンプにウィルスを
持ち込めば感染を完全に防ぐのは難しいということを痛感した。
対策やその後の対応について、自分の中での甘さや気の緩みがあったかもしれないと
反省したと同時に、会員の皆様の温かい言葉が心に染み入った。
「仕方ないですよ、わからないもん。」
「家でじっとせずにキャンプに行かせるということは、感染のリスクも承知の上ですよ。」など、
とても勇気づけられた言葉だった。
一方で、リーダーたちからコロナ対応への不安や不満の声に耳を傾ける機会があり、
いろいろな感じ方や考え方を認める組織運営への学びをもらった夏だった。

いろいろな考え方という意味では、ある施設の考え方に私自身が不満を持つことがあった。
はじまりのオリエンテーションを芝生広場で行っていた時のこと、
施設職員の人から話された3つのルール・気をつけてほしいことの1つ目に、「走らない」とあった。
「えっ?はっ?ここで?」と子どもも困惑していた。
耳を疑ったが、転ぶと危ないかららしい…。
体験させる施設が、「走らないで。」という意味がわからない。
何か事情や考えがあったのかもしれないが、私は納得できずガイアとしても受け入れなかった。

リスクは生きている以上、必ずある。
転んでもいい、失敗してもいい、そこから学ぶことや立ち上がる力を子どもたちに
身につけてほしいと願っているのだ。

「走らない」とルールで縛って体験を奪ってしまうことは、
ビニールハウスでぬくぬくと育てる野菜と一緒だ!
ガイア自然学校という場は、失敗してもいいよと認めてくれる人がいる、
取り返しのつかない事故や怪我にならないよう見守ってくれる人がいる。

自然の中に飛び出して、たくましくなって社会に飛び出してほしいのだ。

「子ども達よ、転んでいい、だから一緒に走ろう!」

              【文:守屋 謙】