2泊3日の秘密基地キャンプ最終日は、台風18号の影響もあり朝から大雨続き。   
  班担当のリーダーに子どもたちを施設に避難させるのを任せ、残ったメンバーで全ての班の秘密基地を解体し、   
  テントや備品を撤収する。カッパを着ていても全身ぐしょぐしょに濡れている。   
  つらい、大変だ。けど開きなおって妙に気分が高揚してくるのはなぜか。   
  それまでののんびりとした2日間には味わうことがなかった気分だ。   
     
  ガイアでは1人ひとりが役割を持って、組織的にキャンプをしている。   
  Gリーダーが企画や準備から、当日の進行や裏方の仕事まで多くのことを行っている。   
  余談だが、彼らはボランティアでガイアの活動を支えている。金銭の支給は1円たりともない。   
  保護者の方もよく驚き、感心されている。   
  「ただ働きをさせてるの!?」などと冷やかされることも稀にあるが、   
  彼らにとって得るものがあるからガイアにいるのだと信じたい。   
     
  その後、予定外の事態に苦戦し、スタッフ作の昼ご飯が完成したのは14時前。   
  「○○、ごはんおっせーんだよ!」とT君。子どもは正直だ。   
  キャンプ終了後の晩の「ふりかえり」で、   
  そのリーダーは「T君の言葉を受け入れると自分がダメになりそうだったから   
  聞き流すしかなかった」
と言った。   
  「スタッフを責めるなよ、この雨を責めろよ。」とR君。   
  「○○、がんばったね」とLちゃん。   
  これらも子どもからの言葉だ。   
  「気分が救われて泣きそうになった。」   
  子ども達との関わりの中で、リーダーはこんなにも気持ちが動いているのだ。   
     
  あの雨の中の高揚感は、誰かのためにがんばれている自分、   
  人の役に立っている自分を感じていたのだと気づく。   
  そして、そのことを認めてほしい、気づいてほしいという気持ちもあったのだ。   
     
  僕自身も、ふりかえりでは正直な想いや不満をぶつけた。   
  リーダー同士のねぎらいの言葉や感謝の言葉がほとんどなかったこと。   
  みんなで作っているキャンプ、それぞれの役割を全力で果たしてこそいいキャンプだ。   
  気づいているのに言えないのか、気づいてすらいないのか。   
     
  子ども達にも知ってほしい。誰かが色々とやってくれていることを。   
  いつも食べているごはんは親が自分のために時間を使って作っていることを。   
     
  どこかで聞いたフレーズだが自分の中に残っている言葉がある。   
     
  命とは生きている時間のこと。   
  「いただきます」とは、   
  自分のためにその人の時間、つまりその人が使ってくれた命に対していただきます、   
  ということなのだと。   
     
  人の気持ちに気づく感受性、やさしさの表現としての言動や行動や態度が場を作る。   
  いい組織の雰囲気を作ると信じている。   
  そのあたたかい雰囲気や場によって、子どもも大人も安心してあそび、   
  心を開放させていくのだと改めて思った。
  
     
  まさしくその晩のふりかえりは、次々と本音が出たり、   
  やさしい言葉を届けあういい場だった。   
  秋の夜風がこんなにも心地いい。