すみきった青空の下で行われた10月の森のようちえん。 その日はガイア畑の芋ほりの日。 ところがいつもの集合場所には、大きな泣き声が響いていた。 お母さんと離れたくないその子が泣きやむのを、 お母さんとリーダーが一緒に見守り待っていたが、時間が経っても変わらず泣き続けていた。 最終的にはお母さんが見えなくなるまで、リーダーが体を抱えていた。 こんな場面は、ガイアでは時々あることだが、その日はその後がいつもと違っていた。 多くの場合、しばらく泣き続けて涙もからっぽになった後、自然と遊びだすことが多いのだが、 結局その日、その子は1日中泣き続けて気分もずっと暗いままだった。 活動中、畑に行っていた僕のところにリーダーと一緒に歩いてきて、 お母さんに僕から電話してほしい旨を、リーダー伝いで訴えてきた。 僕は、「帰りたいんやね、でもお母さんに電話はできないよ。」と応えた。 するとさらに肩を落としてうつむいたまま歩いて戻っていった。 僕はその子の後を追い手をつないで帰ることくらいしかできなかった。 夕方になり、心配していたお母さんが少し早めに迎えに来た。 その瞬間にパッと表情が晴れ、お母さんのところに走って駈け寄り、抱きついて甘える姿は、 嬉しくもあり少し寂しくもあり、複雑な気持ちだった。 その晩のふりかえりでのこと。 1日中ずっと一緒にいたリーダーは、目に涙をためて気持ちを語った。 「その子の話を聴くと、『今日は自分以外の家族がそろって過ごしている。 お父さんは普段あまり一緒にいれないし、 今日はせっかく全員そろう日だから家族でいたい』と話してくれた」らしい。 そんな思いを聴いた彼の心情には、 「ここまで帰りたいと言っている子を無理矢理はりつけているのもどうかと思った。 帰らせてあげたらいいのに、と本音では思いながら、 ガイア的には帰らせないだろうなぁという想像の下、その子と関わるのが苦しかった」と打ち明けた。 それが、僕のいた畑へその子と一緒に来て 「電話して欲しいんやって」と伝えてきた時の、リーダーの心境だったのだ。 その話を聴いた僕ははっとした。 そのリーダーは、同感だろうが共感だろうが、何よりその子の立場になって気持ちを聴いていたのだ。 それに比べて僕は、その子の発してきたメッセージに対して、何と軽薄な受け止めをしたのだろうと。 本人以外わからないかもしれない。 ただ確かにあの時、僕の受けとめ方は、 「目の前の子どもの気持ちよりも、責任者としての自分の立場や周りからの評価」 に意識が偏っていた、と気づかされた。 そのリーダーがぽろぽろと男泣きする姿は、 まるで1日中泣いていた小さな女の子の涙をその大きな体で吸い取り、 吸い取った分だけ溢れ出しているように見えて、とても美しかった。 自分のことを棚に上げて親御さんにも伝えたい。 子どもの気持ちを、心をこめて受けとめてほしい。 毎日子どもと関わるのが親業。 気づきと実践で親も成長していこう。 実践できる場は毎日。 気づきは体験や人との関わりから生まれると思う。 夫婦間、家族間、職場の人間関係の中で、 自分の気持ちを語ること、人の気持ちに触れること、してますか? してないなぁという方、日常から一歩離れてガイアへ来てみませんか? 親御さんが気づける場「ガイアペアレンツグループ」12月は11日(水)午後に開催します。 お気軽にお問い合わせ下さい。 |