別れと出会いの季節である。
  最近、運転中などふとした時、感傷的な気分になることがある。
  でも、こんな自分は嫌いではないのだ。
  
  先日のガイアキッズ「地球とあそぶ」の活動でとても嬉しいことがあった。
  
  今年度最後のガイアキッズとなったその日の全体ふりかえりは、
  3年生の頃からずっとガイアキッズに参加していた6年生のYくんに
  とっては本当に最後の場となった(ガイアキッズは6年生までが対象)。
  いつもはほとんど発表することのなかった彼が手を挙げてみんなの前に立ち、
  口にした言葉は、「今日も楽しかったし、ガイアは楽しかった。」だった。
  横で聴いていた僕には、シンプルだけど心からの言葉だと感じられて、
  本当に、本当に嬉しかった。
  
  
  4年前の4月、お母さんからの電話で「参加させたいけど不安だから、
  一度事務所に連れて行ってもいいですか?」と連絡を受け、
  事務所に遊びにきた日のことをよく覚えている。
  とても元気で事務所に置いてあるものにも興味津々で、人なつっこく
  かわいらしい子だなという印象だった。
  お母さんは、「多動傾向があり学校の先生にはあまり受け入れられていなくて
  辛い。」
と話してくれた記憶がある。
  
  その後、ガイアキッズに参加するようになったYくんは、誰が見ても
  楽しんでいるのは明らかで、自然や人と関わってのびのびとあそんでいた。
  気がつくと声変わりをしていたり、年下の子やGリーダーにも
  優しい言葉がけや行動をしていたり、ぐんぐんと身長が伸びていった。
  彼の成長は僕たちにとっての喜びだった。
  
  
  解散後、お母さんと一緒にお礼と挨拶をしに来てくれた時、
  パチパチとまばたきを繰り返している彼の赤くなった目を見て、
  僕にも熱くこみあげてくるものがあった。
  彼と握手して抱き合い、キャンプでの再会を約束した。
  別れ際、お母さんから「本当にいい体験をさせてもらいました。
  ありがとうございました。」
と言われた瞬間、気持ちが溢れだし、
  くしゃくしゃになった顔と頬をつたうものを隠すように、深く
  お辞儀することしかできなかった。
  
  その日の夜のふりかりで、
  僕はYくんのことが大好きだったんだなぁと気づいた。
  いつも、遊ぼう!とちょっかいを出してきては一緒に走り回った
  彼の存在が、今僕をこんなにあったかい気持ちにさせてくれたんだと思った・・・。
  
  「ありがとう!」
  
  この活動のやりがいである何か、
  単なる体験イベントやサークル活動では生まれにくい何か大切なものが、
  このガイア自然学校に来る子どもたちや関わるスタッフ・Gリーダーの中に
  生まれていることを誇りに思った。

  
  今ある出会いを失わずに深め、新たなる出会いに胸を膨らませつつ、
  春を待ちたい。
  
              【文:守屋 謙】