長男の輝(きら・小5)は2年生の頃から
  地元のスポーツ少年団でサッカーをやっている。
  部員が少ないチームで、僕が稀に応援に駆けつけることができた試合でも、
  親子で勝利の喜びを味わえることは少なかった。
  チームの保護者会の仕事は妻に任せっきりだった。
  
  息子が5年生になってから射水市選抜メンバーに選ばれた。
  他チームの代表選手に刺激され、
  井の中の蛙だったことに気づきだした彼に
  本気のスイッチが入ることを、僕と妻は期待していた。
  しかし他力本願な僕の思うようにはいかないものだ。
  妻からの言葉で気づかされた
  「父親のサポート不足」という現実と向き合った僕は、息子に声をかけた。
  
  「リフティングしよう!」
  
  1人でやるリフティングではなく、
  僕が手で投げるボールを、息子が足の甲や足の内側や太ももを使って
  ノーバウンドで蹴り返すという基本の練習だ。
  目標回数を決めて始めると、達成までのプロセスには
  あらゆる心理や成長の種が見えてきた。
  
  
  まずは意気揚々と始める、ところが簡単にはいかず大げさに悔しがる、
  何度か繰り返し失敗するとやる気をなくしたかのように振る舞う、
  それでも達成できないと人のせいにする、何をやってもだめで煮詰まる、
  あきらめてやめようとする…休憩して気持ちを切り替える、
  再開してもまだできずに焦る、だんだんと集中する、そして達成する!
  
  抱き合って喜びあう!
  
  リフティングひとつでこんなにも息子の態度が変化し、
  様々な感情の動きが目に見えて感じられたことに驚いた。
  
  「がんばれば必ずできる。あきらめず、自分を信じてほしい。応援してるぞ。」
  という僕が伝えたかったメッセージは、
  息子が蹴って横にそれたボールを全力で飛びついてキャッチすることで、
  言葉ではなく行動で伝わったような気がして嬉しかった。
  そして僕自身にも大きな気づきと学びがあった。
  
  「人を支援するよろこび」を感じたのだ。

  
  その後、息子は一人でいつでもボールを蹴って…とはなっていないし、
  リフティングも継続していないようで、
  まだまだ僕からの支援が必要なのだと思っている。
  「過不足ない支援」は簡単ではない、だから楽しいのだ。
  
  
  
  躾けること、教えることとは違う「支援する」ということのよろこびは、
  子どもがその子らしく生き、自立していくところにあると思う。
  そしてそのプロセスで関わる大人自身も成長できるということも
  大きなよろこびややりがいになるはずだ。
  
  
  
  キャンプや自然体験には多くの挑戦と失敗と成功体験が丸ごとある。
  
  画一的、受動的で知識偏重になりがちな教育機関では
  成し遂げにくいこの経験こそ、ガイア自然学校が保障し続けていかなくては!
  
  【文:守屋 謙】