新年度が始まり、木々や草花たちも
  新芽を日に日に気持ちよさそうに広げていく季節となった。
  
  5月から始まる週末の活動に先駆けて、
  すでに新年度がスタートした平日の森のようちえんのフィールドである
  ガイアの森では、夏野菜づくりに向けての準備が始まっている。
  
  今回は、ガイアと自然農の共通点について考えたことを伝えたい。
  それは大きく2つ。
  
  
  「命の力を信じること」と、「過不足ない関わりを目指す」ということだ。
  
  そもそも自然農とは何か、何を大切にしている農業なのかを簡単に触れておきたい。
  
  創始者の岡田茂吉は
  農薬や化学肥料に依存しない自然農法を昭和10年に提唱している。
  僕が参考にしている川口由一式自然農の三大原則は、
  「耕さない」「肥料・農薬を用いない」「草や虫を敵としない」だ。
  これが常識か非常識なのかは、
  その人が見聞きし体験したものによって変わるのだと思う。
  
  僕が数年前から自然農の考え方に傾倒していった発端は、
  今思えば過去に感じた違和感からだった。
  ガイアを始めて間もない頃、
  婦中町新町の畑を借りて地域の方々に教わりながら、
  さつまいもや大根などを作っていた。
  
  何年間か続けて感じた違和感の正体は、
  「肥料で太らせる人工的な野菜づくり」だった。
  
  四季の自然の中でそこにある何かを採って(獲って)食べることが大好きな僕には、
  何か違うと感じる農業だった。
  そんな時に出会った「自然を支える生物による営みに人間が正しく関わり、
  その働きを引き出すことで、人間をはじめ多様な生物がより豊かになる」
という
  自然農の考え方は、自然と僕の中に入っていった。
  
  「命の力を信じる」ことは、「子ども達のもつ潜在的な力を信じる」ことだ。
  より良い方向へ適応していこうとする子どもたちの成長そのものだ。
  大人が教え、躾け、導かなければ育たないという考え方とは対をなす。
  主体は子どもであり、大人は教育者というよりは支援者であるという考え方だ。
  
  だからガイアは自由にあそぶし、
  大人があらかじめ用意した教育的プログラムは存在しないし、
  Gリーダーやスタッフは子ども達がやりたいことをできるような環境をつくり、
  瞬間瞬間をサポートしようとしている。
  
  
  また、「過不足ない関わりを目指す」とは、
  もう少し詳しく言うと「子ども達に過保護や過干渉にならず、
  かといって放任やただの見守りとも違う、
  その子自身の良さが生き生きと発揮され伸びていくような、
  その子にとってちょうどよいサポートを目指す」
ということだ。
  これは簡単ではなく、日々の実践の中で学び続けていく必要がある。
  
  だからガイアはコミュニケーションにおけるアウトプットや
  カウンセリングマインドを大切にしているし、
  ふりかえりで自分自身を見つめることを大切にしている。
  
  自然の中で草花や虫などの多くの命に囲まれながら、
  子どもが自らの命の根をはり、芽を大きく伸ばし、笑顔咲き誇り、
  それぞれの人生が実ることを願い、今この瞬間を関わり続ける。
  それが、ガイア自然学校の目指すものだ。
  【文:守屋 謙】