「今日は全然楽しくなかった・・・」と打ち明けたのは、Gリーダーだった。
  
  釣りプログラムでの夜のふりかえり。
  
  聴くと、サビキ釣りで子どもと魚をたくさん釣っていた時の気持ちらしい。
  意外に思ったが、彼は「僕が釣りの活動に出るのは、魚を釣りたいからじゃなく、
  釣りをしている間に子ども達といろんな話をするためだから」
と言った。
  魚を釣っては外し、また釣っては外しの連続で、
  ゆっくり会話もできなかったことが彼の不満だったようだ。
  
  一見、釣りは釣れればオッケーと思いがちなところだが、
  彼の言葉には「結果よりもプロセスを大事にしたい」という想いを感じ、
  改めて気づかされることがあった。
  
  
  
  子ども達は魚を釣りたくて来ていたが、
  僕たちにとって魚を釣ることは目的ではなく手段である。
  
  目的は、子ども達の成長であり関わるリーダーの成長でもある。
  
  実際、ガイアでは時間をかけてわざわざ仕掛けづくりから行うが、
  子どもにとって釣り糸を結ぶことは容易ではなく、あきらめてしまいそうになる子、
  根気強く頑張る子など様々な姿に立ち会える。
  関わる僕たちにとっては、そんな子どもたちにどう向き合いサポートしていくか、
  学びが多い時間なのだ。
  
  
  
  何のために、ということを最近またよく考えるようになったのは、
  自分が40歳の節目に立っているからだろうか。
  
  30歳の時にこの仕事をスタートしてもうすぐ丸10年経つ。
  
  若造一人の「好きなことを仕事にしたい!」という想いから始まり、
  家族やスタッフの人生も巻き込んでいる今がある。
  
  たくさんの子ども達、親御さん、Gリーダーと出会い、
  「ありがとう」の一言が身に染みてくるようになった。
  そして、少しずつではあるが「使命感」という言葉を使うようになった。
  
  
  人は何のために成長するのだろう?
  僕は何のために成長したいのだろう?
  今出てくる答えは、「世のため人のためになる自分と団体になるため」だ。
  団体が成長していくプロセスの中で、自分もまだまだ成長したいと思っている。
  
  
  自己実現と他者貢献がリンクしたら、みんなも自分も幸せ。
  だから社会も良くなるのではと思う。
  このあと、50歳60歳と迎えるまでに、自分の限りある命をどのように使って、
  まわりと自分を幸せにしていくか、考えている今日この頃。
  【文:守屋 謙】