今年度のガイアキッズでは活動最後の「全体ふりかえり」の時間を
実験的に短縮や省略している。

「全体ふりかえり」は、楽しかったことや見つけたものを
発表したい1人ずつが全員の前に立って話すのだが、
49人の子どもと20人のリーダーが1人の子の話を聴くということの難しさを感じていた。
良い点ももちろんあるが、犠牲にするものもある。
例えば、発表する子には度胸がつくし、みんなに知ってもらえる嬉しさを感じてもらえる、
聴く子にとっては知らなかったあそびや生き物を知れたりするなど。
ただ、全体ふりかえりの時間をとるということは、
もっと遊びたい子にとっては遊ぶ時間が少なくなることでもあるのだ。

ガイアキッズを企画するリーダー陣と話し合う中で、
「全体ふりかえり」以前に「班ふりかえり」を大事にしてもらいたいと思い試みている。
すると、班を担当するリーダーによって、
「いいふりかえりができた。」
「落ち着いてふりかえりができなかった。」
「ふりかえりの意味がわからなくなってきた」など、いろいろな声が聞こえてくる。

そもそもガイア自然学校の活動(リーダー研修も)では
必ず「ふりかえり」なるものを行っている。
なぜだろう?
その1つではない目的や良さは上から伝えられるだけではなく、
各リーダーが考えたり実体験を伴って気づいてこそ腑に落ちるものだと思っている。

僕自身が広く長く俯瞰的に捉えるふりかえりの目的は
「多様性を認め合う社会をつくる」ためだ。

そのために班ふりかえりでは、一人ひとりが楽しかったことや感じた気持ちを
自由に語り、班のメンバーが関心を持ってちゃんと聴く。
それが年間を通して毎月繰り返されていくことで、
少しずつお互いを知り、仲良くなる。

新しい友達を作るという経験を通して、新しい自分の可能性にも出会う。
例えば虫好きの友達に教えてもらって虫を捕まえられるようになったなど。
班という小さな組織の中で互いに影響し合い成長していく子ども達はすごい。
そしてそんな場づくりや子ども達の成長をサポートできるようになったリーダーは、
もっとすごいと思うのだ。
ここで、重要かつ決定的なガイアらしさとして大事にしたいのは、
「自由」であることだ。

班の子と一緒に遊ばないといけない訳ではなく、同じことをしないといけない訳でもない。
リーダーは班のみんなで遊びたいと伝えてくるかもしれないが、
それは「決まり」ではなく、そのリーダーの「気持ち」なのだ。

自由を保障され、一人ひとりを認めてくれたり、
本心で向かい合うリーダーが近くにいるからこそ、
子ども達同士がお互いのやりたいことや性格を認めあえる
のだと信じている。

「多様性を認め合う班の子ども達」は、多様性を認め合う組織であり、社会である。
ガイアキッズという自由なあそび体験から、未来の人と社会を作っていきたい。 
          【文:守屋 謙】