先月上旬に行われたレンジャーズ「スノーチュービングに挑戦!」は、大雪に見舞われた。
閑乗寺公園キャンプ場までの坂道の除雪が追いついておらず、チェーンをつけたマイクロバスでも立ち往生。
引き返して別の道から何とか辿り着いたそこには、旧ゲレンデの銀世界が一面に広がっていた。

装備を整えて部屋から出発し、坂を登っていく。
道などなく、リーダーが新雪を一歩一歩踏み固めて登っていった後を子ども達がついていく。
さっそく膨らませたタイヤチューブに乗るが、新雪が深すぎて全く進まない。
坂の下に向かってチューブを押しながら少しずつコースを作っていった。
何人かがコースを通って少しずつ滑り出すようになると、圧雪されてきたコースでスピードも増してきた。
前の人が止まった地点を、次の人が追い越しては新雪で止まる、
追い越しては新たな新雪で止まるの繰り返しだ。
スピードはどんどん増してきて、滑る距離も伸びてきた。
止まる時にひっくり返ってみんな雪まみれで楽しそうだ。
おそらく他の人が見たら、危ないと思われただろう。
(実際、雪山を登っていた近くのシニア御一行さんが「危ないね」と
話していたのが聞こえたりもした。)

でも、僕は総合的に判断して大丈夫だと思っていた。
その大きなポイントは前日のGリーダー研修だ。
30人程のリーダーでいろんな斜度の坂を滑ってみたり、ジャンプ台で吹っ飛んで痛い思いをしたり、
チューブにどんな乗り方をすると危ないか、何人以上で乗ると危ないかを遊びながら体験していた。
鼻や口から流血してしまったリーダーもいたし、僕もジャンプ台で飛んで頭を打って体を張った(笑)。
ふりかえりで様々なリスクを共有し、ミーティングで当日の安全管理について話し合った。
当日はジャンプ台は作らず、2人まででチューブの中にお尻を入れて滑ったため、
相当なスピードが出ていたものの、チューブから落下することなくコースの最後まで滑りきっていた。
企画するプログラムディレクターの4年生リーダーとも連携し、次の子が滑るタイミングを合図したり、
滑る子にはヘルメットを着用させたり、本人の行きたい気持ち、
怖い気持ちを尊重しながら無理させずに挑戦していた。
結果、「スリル満点で楽しかった!」一日を生み出すことができたと思っている。
同時に事故なく楽しく活動をやり遂げた充実感を味わうことができた。

ちなみにこんな活動は、多くの自然の家などにある規制されたスノーチューブコースでは
生み出せないと思っている。
とても責任を持てないという話だ。
このフィールドを選んだ理由、「自由」と「責任」だ。
ガイア自然学校が行うプログラムは自由度がとても高いが、その分責任も大きい。
子ども自身の限界、そばにいるGリーダーの許容範囲、スタッフの判断力などを考え、
それぞれがコミュニケーションをしっかり取りながら安全管理して遊び、学ぶ。
子ども達が社会というリスクだらけの大海原に出ていく前に、「生きる力」を育んでいきたいのだ。

              【文:守屋 謙】